トロント、腹痛、散策
トロントの町を歩いた。
都市圏人口590万人、人種のるつぼ。
まごうことなき大都市である。
ホームステイ先について2日目、1日目はずっと寝ていたため、実質初トロント生活だと言っていいだろう。
ちなみに、僕を受け入れてくれたのはフィリピンに出自を持つ家族だ。
多少、というか普通に訛りがあるが、息子と娘は完全にネイティブスピーカーらしく、悪くない環境だろう。
部屋も小綺麗だし、安めの値段設定にしては、十分である。
正直ごはんはシンプルにおいしくないが、今後に期待したい。
さて、そんな家を飛び出して、トロントの街中をぶらついてきた。
まずは公共交通機関を乗るという難関にぶち当たったが、なんとなく寄った近くのコンビニみたいなところでトークン(コイン状の乗車券みたいなもの、渡航経験のある国でも多くがこの形態だったように思う)を発見。すまし顔でバスに飛び乗り、乗り換え券のようなものもなんとなく手に入れ、地下鉄への乗り換えに成功。(トロントの町では、市が一括で公共交通機関を管理しているらしく、割と乗り換えができる)
トロントの中心地に躍り出た。
明日から通うことになる(激烈な勢いで決定した)学校の場所を確認し、町を散策することに。
当然、便意との闘いだ。
いつだってそうだ。旅先では便意と戦ってきた。マレーシアでも、インドでもそうだった。
トロントの中心部なだけあって、完全に都会である。イオンみたいなところがあればこちらのものなのだが、そんなものは見当たらないため、地下鉄へと猛然と早歩きで向かう。
おそらく、便意を抑え込む僕の顔は逞しく、頼もしい。
インド人っぽい顔をした観光客一行に、ホッケースタジアムはどこだと聞かれた。国際水準の頼もしさなのだ。便意によって思考回路が混線し、そもそもホッケースタジアムの場所を知らなかったので、「I just look for washroom!」と高らかに宣言し、キメ顔をし、身を翻した。
これが、世界である。
と、インド人も思ったに違いない。
しかし、インド人との出会いはカレーを連想させ、僕の便意を加速させていた(他意はある)。
地下鉄につくと、そこにトイレはなかった。
普通にちょっと泣いたし、あきらめかけた。後々調べたことだが、トロントの地下鉄駅にはあまりトイレはないそうだ。馬鹿か。
ただ、僕はめげない。
トロントでは常に前向きでいようと決めたのである。
ただし、この時の歩き方は、本当に気持ち悪かったと思う。
確実にインスタ映えしていた。
デューク更家をご存知だろうか?
彼だ。
健康的な歩行法をとっていることで有名な彼である。
手はさすがにつかないが、大袈裟なクロスを意識した歩き方は、完全に彼だっただろう。
なんなら、「しゅっ、しゅっ」と声を出していた気もする。
腹痛の時の人間は強い。
そうしてデューク化した僕は、とりあえず大通りを歩いてみるという奇行にでる。
トイレは人の集まるところにある、という合理的な考えに、本能的にたどり着いていた感もぬぐえないが、とにかく異国でのトイレ探しは人をおかしくする。
すると、さすがは人種のるつぼカナダ、おそらくイスラムの人を差別しないで!というパレードがぱっと見100人規模で行われ、大通りを練り歩いていた。
僕は彼らと対面することとなる。
便意を抑え込むことばかりに少ない脳のメモリを割いてしまっていたので、避ける選択肢がなかなか取れないのだ。
便意と権利が相まみえた瞬間である。
今思い返すと普通に危うかったと思い、ゾッとする。もちろん、もれそうだったので。
あと、国際問題とかになる可能性もぬぐいきれない。
皆さんには経験がないと思うが、パレードの歩を緩ます程の怪物級の便意とは、もはや親近感さえ湧いてくるのだ。
あぁ、これを水に流してしまっていいのかしら。
そんなことさえ思った。
そんな時、複合商業施設みたいなものが左手に見えた。
強い版のイオンみたいな感じだった。
迷わずデュークウオークでそちらに向かい、トイレを発見。
この瞬間の安堵といったらない。
しかし、玄人の方ならご存知の通り、ここからが本番なのだ。
満席の可能性があるのだ。
何を隠そう、私もその経験が幾度となくある。それによる事故の経験もある。
しかし、そんな心配は意味をなさず、がら空きの大便器。
一瞬で個室に飛び入る姿は、まさしく忍者そのものだったのではないだろうか。
カナディアンたちも口々に、「He is Ninja.」そういったに違いなかろう。
しかし、このトイレには鍵がなかった。
いや、正確に言えば、鍵穴に刺さるべき金属部分があまりにも短く、ただのモニュメントと化していたのであった。
おそるべき国である。自由にもほどがある。
馬鹿か。
そこは、熟練の忍者、ひるむことなくことを進めながら、手でドアを抑えるという離れ業を披露した。
どうだ、カナディアン。これが日本である。忍者である。
個室のスペースもカナディアンサイズであり、大変な思いをしたがとにかく最悪な事態の回避に成功した。
達成感に包まれる。
個室を出た僕は、一回り大きくなっていた気がする。
デュークウオークももうやめにした。
そういえば、不思議なことに、カナディアンたちは小便器には行列を作るものの大便器にはめもくれない。全員小学生か?
ちなみにそのあと幸せすぎてニコニコしていたら、先ほどとは違うインド人っぽい女性にこの先は出口か?みたいなことを尋ねられた。まったくもって頼りがいのある男である。
軽やかに「YES!」と返事をしたが、今思い返すとその先は男子便所だ。
トロントは、君を待っている。
あとから行ったトイレにはちゃんと鍵がついていました。
都市圏人口590万人、人種のるつぼ。
まごうことなき大都市である。
ホームステイ先について2日目、1日目はずっと寝ていたため、実質初トロント生活だと言っていいだろう。
ちなみに、僕を受け入れてくれたのはフィリピンに出自を持つ家族だ。
多少、というか普通に訛りがあるが、息子と娘は完全にネイティブスピーカーらしく、悪くない環境だろう。
部屋も小綺麗だし、安めの値段設定にしては、十分である。
正直ごはんはシンプルにおいしくないが、今後に期待したい。
さて、そんな家を飛び出して、トロントの街中をぶらついてきた。
まずは公共交通機関を乗るという難関にぶち当たったが、なんとなく寄った近くのコンビニみたいなところでトークン(コイン状の乗車券みたいなもの、渡航経験のある国でも多くがこの形態だったように思う)を発見。すまし顔でバスに飛び乗り、乗り換え券のようなものもなんとなく手に入れ、地下鉄への乗り換えに成功。(トロントの町では、市が一括で公共交通機関を管理しているらしく、割と乗り換えができる)
トロントの中心地に躍り出た。
明日から通うことになる(激烈な勢いで決定した)学校の場所を確認し、町を散策することに。
当然、便意との闘いだ。
いつだってそうだ。旅先では便意と戦ってきた。マレーシアでも、インドでもそうだった。
トロントの中心部なだけあって、完全に都会である。イオンみたいなところがあればこちらのものなのだが、そんなものは見当たらないため、地下鉄へと猛然と早歩きで向かう。
おそらく、便意を抑え込む僕の顔は逞しく、頼もしい。
インド人っぽい顔をした観光客一行に、ホッケースタジアムはどこだと聞かれた。国際水準の頼もしさなのだ。便意によって思考回路が混線し、そもそもホッケースタジアムの場所を知らなかったので、「I just look for washroom!」と高らかに宣言し、キメ顔をし、身を翻した。
これが、世界である。
と、インド人も思ったに違いない。
しかし、インド人との出会いはカレーを連想させ、僕の便意を加速させていた(他意はある)。
地下鉄につくと、そこにトイレはなかった。
普通にちょっと泣いたし、あきらめかけた。後々調べたことだが、トロントの地下鉄駅にはあまりトイレはないそうだ。馬鹿か。
ただ、僕はめげない。
トロントでは常に前向きでいようと決めたのである。
ただし、この時の歩き方は、本当に気持ち悪かったと思う。
確実にインスタ映えしていた。
デューク更家をご存知だろうか?
彼だ。
健康的な歩行法をとっていることで有名な彼である。
手はさすがにつかないが、大袈裟なクロスを意識した歩き方は、完全に彼だっただろう。
なんなら、「しゅっ、しゅっ」と声を出していた気もする。
腹痛の時の人間は強い。
そうしてデューク化した僕は、とりあえず大通りを歩いてみるという奇行にでる。
トイレは人の集まるところにある、という合理的な考えに、本能的にたどり着いていた感もぬぐえないが、とにかく異国でのトイレ探しは人をおかしくする。
すると、さすがは人種のるつぼカナダ、おそらくイスラムの人を差別しないで!というパレードがぱっと見100人規模で行われ、大通りを練り歩いていた。
僕は彼らと対面することとなる。
便意を抑え込むことばかりに少ない脳のメモリを割いてしまっていたので、避ける選択肢がなかなか取れないのだ。
便意と権利が相まみえた瞬間である。
今思い返すと普通に危うかったと思い、ゾッとする。もちろん、もれそうだったので。
あと、国際問題とかになる可能性もぬぐいきれない。
皆さんには経験がないと思うが、パレードの歩を緩ます程の怪物級の便意とは、もはや親近感さえ湧いてくるのだ。
あぁ、これを水に流してしまっていいのかしら。
そんなことさえ思った。
そんな時、複合商業施設みたいなものが左手に見えた。
強い版のイオンみたいな感じだった。
迷わずデュークウオークでそちらに向かい、トイレを発見。
この瞬間の安堵といったらない。
しかし、玄人の方ならご存知の通り、ここからが本番なのだ。
満席の可能性があるのだ。
何を隠そう、私もその経験が幾度となくある。それによる事故の経験もある。
しかし、そんな心配は意味をなさず、がら空きの大便器。
一瞬で個室に飛び入る姿は、まさしく忍者そのものだったのではないだろうか。
カナディアンたちも口々に、「He is Ninja.」そういったに違いなかろう。
しかし、このトイレには鍵がなかった。
いや、正確に言えば、鍵穴に刺さるべき金属部分があまりにも短く、ただのモニュメントと化していたのであった。
おそるべき国である。自由にもほどがある。
馬鹿か。
そこは、熟練の忍者、ひるむことなくことを進めながら、手でドアを抑えるという離れ業を披露した。
どうだ、カナディアン。これが日本である。忍者である。
個室のスペースもカナディアンサイズであり、大変な思いをしたがとにかく最悪な事態の回避に成功した。
達成感に包まれる。
個室を出た僕は、一回り大きくなっていた気がする。
デュークウオークももうやめにした。
そういえば、不思議なことに、カナディアンたちは小便器には行列を作るものの大便器にはめもくれない。全員小学生か?
ちなみにそのあと幸せすぎてニコニコしていたら、先ほどとは違うインド人っぽい女性にこの先は出口か?みたいなことを尋ねられた。まったくもって頼りがいのある男である。
軽やかに「YES!」と返事をしたが、今思い返すとその先は男子便所だ。
トロントは、君を待っている。
あとから行ったトイレにはちゃんと鍵がついていました。
コメント
コメントを投稿